eeldogの鰻犬堂日乗(mankendo diary)

日々のよしなきことどもをつづります。 クリックすると写真が大きくなります。

2018-07

詩の話 ホドロフスキー賛江-2

引き続き、ホドロフスキー映画の話を。
今回初めてみた「エンドレス・ポエトリー」はかなり気に入った。併映は「リアリティのダンス」で、これも良かったが、前者のほうが好きである(というか、結局エンドレス・ポエトリーは2回見た)。
ちょっと驚いたが、主人公をはじめ、いろいろな役柄でホドロフスキーの息子(複数)が出演していて、家内制手工業のような映画作りだと思った。

それは良いとしてどうもホドロフスキー自身は、一義的には自分は詩人だと思っているようだ。
では詩および詩人とは何だろうか。日本ではそれほどではないが、たいていの国では文芸の最高峰が詩であり、詩人の社会的存在は意味が大きい。
日本の場合は、定型詩(俳句、短歌)は案外にしぶとくて、人気も実作者も少なからずある/いる。ただし、社会的影響力は必ずしも大きくないような印象がある(とはいえ、人の心に入り込んで、思わぬ時に影響する)。
現代詩(定型的リズムがないものと言えばよいか)はどうだろうか。
人気のある詩人もいて、ときどき話題になるが、文芸の最高峰という位置づけではなかろう。
しかし世界レベルでは、(俗っぽい例ではあるが)ノーベル文学賞はけっこう詩人に授与されている。

まあ、そのへんは別にいいのであるが、なぜ詩が重視されるのだろうか。
ホドロフスキーを例に考えると、詩として口から出た、日常の言葉とは違う、一連の言葉は、単なる言葉の意味の連なりと音の響きの連続ではなく、かなり実体感のあるもののようだった。
詩を黙読するのは、ナンセンな話で、そもそも音の響きが現実世界に放たれ、それが相手に届いて特別な意味を生ずる。
映画を見ていると、詩は詩人の口から語られ、聞き手に届き、確実に相手(という現実)を変えるもののようであった。さらに言えば、そのまま現実世界に働きかける=世界を変える力があるという確信があるようであった。
むしろ、そのような確信を持つ者だけが、詩人となる資格を持つのだろうか。
ホドロフスキーの場合、まず詩の世界があり、それを現実化すると、ある場合には映画になったというように見た。
つまり、詩という特別な言葉による一種の世界創造である。こうなると、旧約聖書の創世記を思い出す。
神が「光あれ」と言えば、光があるようになった。そのあとも、「神は言われた」という言葉とともに、空ができたり、植物ができたり、月ができたり、動物ができたりする。
http://bible.salterrae.net/kougo/html/genesis.html
詩人の言葉=詩は、それを再現とまではいかなくても、それをなぞる力、もしくは再度世界を生まれ変わらせる力を持つ、という含意が共有されているのではなかろうか。

ちなみに、歌、音楽、踊りのシーンもふんだんにあり、ホドロフスキーはかなり関心があるのだろう。
これは当然のことで、詩があれば自然と歌が生まれ、歌があれば音楽とダンスがはじまり、それだけでも日常とは別の世界がその場で生まれる。
そういえば、若きホドロフスキーが友人たちと別れてパリに旅立つときに歌う歌(僕は船で旅立つ、云々)は、チリあたりでは有名な曲のようで、別の映画(「サンタ・サングレ」だったかな)でも、歌われていた。
いろいろ書いたが、「エンドレス・ポエトリー」は何度でも見たい。
こんなことを思いついたのは、やはり早稲田松竹で先日見た、ジャームッシュの「パターソン」がやはり詩と詩人についての映画だったので、いろいろ考えてしまった。しみじみとした、いい映画でした。
http://www.wasedashochiku.co.jp/lineup/2018/jarmusch2018.html
ちなみに、このときの併映は、Iggy Popの「Gimme Danger」で、彼の詩がシンプルなのは、子供時代に見ていたテレビの司会者が「ファンレターは20語以内にしようね」というのを今でも守っているからとか言ってたな。

で、「リアリティのダンス」は、ユダヤ移民のお父さんは苦労しすぎて性格が歪んだが、幼少期のホドロフスキーもとばっちりで苦しんだ(でも、それによって現在のようになった)という話でした。
早稲田松竹で見たときは、たまたま「エンドレス・ポエトリー」、「リアリティのダンス」の順番で見たが、密接につながっている映画なので、先行作である「リアリティのダンス」から見たほうが、より楽しめると思います。
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