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eeldogの鰻犬堂日乗(mankendo diary)

日々のよしなきことどもをつづります。 クリックすると写真が大きくなります。

2018-12

なかなかの奇(稀)書、『明治の御代の「坊っちやん」』(古山和夫)

著者は、リコーダー奏者でバロック音楽などを演奏しているらしい。
その著者が、『坊っちやん』を楽譜に見立て、著者なりに演奏したらこうなった、という本である。

『坊っちやん』という作品は不思議なところであって、そもそも発話者である主人公らしき男(=坊っちやん)が、いったい誰に向かって話しているのか、というところからはっきりしない。
話の内容自体の内容と、語り口によって、なんとなく面白がって読まれているわけだが、よく考えると分からないところがある。
その疑問に対して、かなり強引だが、ひょっとしてそうかもと思わされる解釈(字口、駄洒落による読み替え)がされていて、かなり面白く読んだが、まじめな漱石ファンや学者は怒るかもしれない。

なるほどと思う点をいくつか。
・能楽との結びつきについては、熊倉千之先生の考えと重なるところがあって興味深い。
・日露戦争については『草枕』や『三四郎』で、漱石はさらっと触れているが、やはり当時は国の存亡がかかるとともに、一般人にとっても出征、戦病死等身近な問題だったはずで、その重大さに気付かぬ漱石ではなかったろう。それについてなるほどと思うところがあった。
・坊ちゃんは、四国(死国、じつは日露戦争の舞台であった清国/満州)から引き揚げてから、街鉄(路面電車)の技師になったとあるが、なんだか唐突な終わり方だと思っていた。街鉄(がいてつ・まちてつ)を地口で「がいてつ=外鉄(外国鉄道)」もしくは「みちてつ=満鉄」と読むと、たしかに日露戦争で得た南満州鉄道につながってくるところがあり、漱石の意図が感じられる。

この本がどういう評価を得てるのかよく分からないが、いとうせいこう氏がtwitterで取り上げているようだった。なかなかの内容を持った本だと思います。
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