eeldogの鰻犬堂日乗(mankendo diary)

日々のよしなきことどもをつづります。 クリックすると写真が大きくなります。

2017-09

タルコフスキー「サクリファイス」を見たら、「アンドレイ・ルブリョフ」が見たくなった。

2011年の震災後、はじめて「サクリファイス」を見てみた。
この映画は世界の終末の話で、ミサイルが飛び交う描写があり、核戦争が起こったらしいことが分かる。
主人公は、世界の破滅を避けるべく何とか奇跡を起こそうとし、「魔女」とうわさされる女により、時間を巻き戻そうとする。どうやらそれは成功したらしく、しかしその代りに主人公は捧げものをしなければならない。
そういえば、主人公はアンゲロプロスの映画にも出てたな。

2011年の震災は、核戦争ではなかったが原発事故が起こり、俺にとってはサクリファイスの内容と非常に重なる部分がある。
それもあって、今回のタルコフスキー特集では、この映画を見るのがためらわれた。
しかし、上映時間に合わせたようにたまたま時間が空き、それにもなにか意味があるのではないかとも思え、見ることにした。

見た感想であるが、映画自体にケチをつけるつもりはない。しかし、この主人公には魔女/マリア(聖母でもあるか?)がいたので、世界は救われた。では魔女がいない俺(もしくは我々)はどうすればいいのだろうか。
魔女を探すべきであろうか(というか宗教的救済のことを言っているわけだが)。
それとも奇跡は起きないと思い定めるべきか。
しかし先日の福島原発二号炉の探索ロボットのニュースを見ても、およそ奇跡でもなければ廃炉は難しいだろう。
人間はそもそも活動できない放射線量であるが、ロボットさえ満足に使えないのであれば、何をもって廃炉を進めるのか。

そんなことを考えていたら、先日見た「アンドレイ・ルブリョフ」を思い出した。
あの映画の最後で、鐘作り職人の息子が巨大な鐘を鋳造するのだが、じつは父親から鐘作りの秘訣は教わっていなかった。
しかし見事にやり遂げて、泥の中に倒れ伏し「親父は肝心なことは何も教えてくれなった」と泣くその息子に、アンドレイは「お前は見事にやり遂げたのだ。お前は鐘を作れ、俺は絵筆をとる」と語りかける。
この鐘作りのことが、どうも頭から離れない。
今回の原発事故の収束と廃炉は、誰もやり方を知らない。チェルノブイリに比すべき事故であるが、あそこはとりあえず巨大なカバーを掛けた状態になっているだけである


実際のところ、誰も何も分からないのであるが、それでも廃炉を成功させなければ未来はないだろう。
そこで、ほぼ徒手空拳で鐘を作った息子の姿(とそれを助ける民衆)が、これからの廃炉作業にダブってくる。
もうタルコフスキー映画特集は終わってしまうので、「アンドレイ・ルブリョフ」を今回再度見るのは難しいのだが、なんとか近いうちにまた見たいものだ。

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