eeldogの鰻犬堂日乗(mankendo diary)

日々のよしなきことどもをつづります。 クリックすると写真が大きくなります。

2017-06

六田知弘写真展 ボロブドゥール 京橋繭山龍泉堂

先日、ご案内をいただいて、京橋のギャラリーに見に行った。
http://www.muda-photo.com/topics/index.html#T150227-1

先々週は目に入ったごみが角膜を傷つけたようで、週の半分は涙をこぼしていた。先週は軽いぎっくり腰をやってしまい、どうも体調がすぐれないまま来てしまったのだが。

エントランス脇のウインドウの、手を重ねあった写真を見たら、なぜか気持ちが安らいで素直に見てみたいという気持ちが出てきた。
調子が良くないので、お勉強的であったり、宗教性が強すぎたりすると、たぶん写真に負けてよけい具合が悪くなってしまいそうだったから、見に行くのに少しためらいがあった。
それは最初の写真で払拭された。

なかにはいって少しずつ見ていく。
石の彫刻のはずだが、何故だかやわらかい印象がある。石のもともと持っているざらつきのある表面が、さらに風化によって粗れているだろうに、不思議だ。
2階に石の仏頭があったが、あれは確かに石であり硬そうだった。写真の石像も同じ硬さを持つはずだが、写真ではそうは見えずに、やわらかさのほうが先に感じられる。
素材の石は安山岩等火山性のもので、石質は硬いらしい。表面のざらつきは火山ガスが抜けたときに出来たものだそうだ。

3階に行くと六田さんが居られた。
少し感想を述べたら、六田さん曰く、ボロブドゥール遺跡の彫像は表情が一つ一つ違う。他の遺跡はもっと様式化されていて、人物像もパターン化されているが、ボロブドゥールは一つ一つに個性があって、モデルがいたのではないかと思わせる。
それを生きている人間のポートレートのように撮影している。そこがひとつの理由かもしれない。
また、この遺跡は大乗仏教なので、ある種のおおらかさ、鷹揚さがあるかもしれない。東南アジアは概ね小乗仏教なので、その点では異色である。

ただし、船の彫刻には、ある種の緊迫感、やわらかさとは反対のものがあったというと、それは難破のシーンだから、全体のなかでは少し異質だからだろうとのことだった。

見に来た人と話していて、こんな話題が出たそうだ。
実際に遺跡に行くと、彫刻が何面もあり、最初はしっかり見ていてもやがて疲れと暑さで、じっくり見ることが出来なくなる。だから、ボロブドゥールに行った人が写真を見て、こんなふうだったっけと言う人が多い。
しかし、実際に行ってみれば仕方がないと思えるそうだ。

この写真群は、しばらく前から撮影していたが、まとめるのは今タイミングだと思って発表した。今やらなければ、あとではもうやらないだろうというお話もあった。
これからは「水の貌」に続くシリーズを撮るので、ここがまとめ時だと考えたとのことだった。
たしかに、以前今回はすべてモノクロにプリント(出力?)されていたが、以前見たときはカラーだったり、アングル違いだったりしたものあった。
まとめるということで、モノクロで統一したということだろうか。


「水の貌」以後のシリーズについて、以下のようなお話があった。
今は「地の貌」として、日本の石を撮っている。出雲立石で撮影したが、そばに立岩というところがある。そこで撮影していたら眼鏡が壊れた。仕方がないのでそのまま撮影したら、いいものが撮れた。いつものような日常的な眼鏡を通してではなく、違う見方をしろという啓示であったか。

「水の貌」について「きれい過ぎる」といった人がいた。これはけっしてほめ言葉ではない。その意味はまだしっかりとはつかみかねている。
例えば、瀧があるとして、普通はその見えているところを撮影する。六田さんは、瀧の裏側の岩のしずくを撮影する。しかし、いまは瀧の表面を撮影して、しかも裏にあるものも撮影できるように思う。
つまり日常から非日常=異界に移ってそこで撮影するということをしてきたつもりであるが、いまでは日常のなかにも異界をとらえることが出来る。しかしそういうのは嫌がる人も多いだろう。
そのへんが、人によっては見ていて不安感や苛立たしさにつながるのかも知れず、理解されない部分もあるが、
最初の写真集「ひかりの素足」のころから同じことをやっているつもりなので、本人としては連続性がある。

つまりらせん状に上に向かって進んでいるつもりなので、円周の対極にあるものを比べると、まったく違うように見えるだけで、製作者としてはあくまでも連続性がある。

こんな話など、いろいろと興味深い話を聞かせていただいた。
また行こうと思います。

帰りには、「ポリの肖像」(持っていなかった)と「時のイコン」(若松丈太郎先生に進呈した)を買った。
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