eeldogの鰻犬堂日乗(mankendo diary)

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2017-04

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震災遺構の保存の是非、もしくは現代美術家の奮起を促す。

先日NHKで震災遺構を残すべきか否か、という問題を取り上げいていた。
「シリーズ東日本大震災 震災遺構~悲劇の教訓をどう伝えるか~」
http://www.nhk.or.jp/special/detail/2013/1129/

大きく分けると、三つの立場に分かれるようだ。
ひとつは鎮魂の場、および亡くなった人たちを思い出すためのよすがとして保存して欲しいという立場。
もうひとつは、震災遺構を見ると、震災を思い出して辛いので、解体してほしいという立場。
そのほかに、震災の遺構、遺物があると復興の妨げとなるという考え方もある。
どれももっともな言い分であり、いい加減に扱うことはできない。

昔であれば、震災遺構を残す余裕もなく、おのずと朽ち果て、散逸し、しばらくしてその跡に神社仏閣を建てたのではなかろうか。
例えば南三陸町の防災対策庁舎であれば、潮をかぶった建物はいずれ崩壊するだろうし、そうなれば地元の篤志家らによりお寺が建てられて、避難を呼びかけながら亡くなった女性は「呼掛観音」として祀られるようになったのではないか、などと考えてみたりする。

同じような遺構の問題として広島の原爆ドームについてふれていたが、そのなかで広島の被爆者が、原爆ドームを受容するまで30年くらいかかったと語っており、なるほどそうだろうと思わされた。
(俺などは、代々木にDOCOMOビルが建ったときどうしても違和感があった。しばらくして長野重一の新宿御苑の桜ごしに写るDOCOMOビルの写真を見て、やっと心のなかに落ちつくところが出来た。)

震災の年の春に地元に帰って、海沿いを歩いたとき、一面泥だらけになった水田跡と高台にあって津波を免れた家を見て、この家の人はいったいどんな気持ちでこの風景を見ながら暮らすのだろうかと考えた。また友人と夏に会ったとき、毎日通勤途中に見る、死亡者が多かった老人介護施設がとうとう取り壊された、と言っていた。それに続く言葉は特になかったが、それは言わなくても互いに分かっているはずという感覚があった。この友人は震災と原発事故のストレスだろう、しばらく前に精密検査を受けたといっていた(問題はなかったようで安心したが)。
風景とその受容というのは、簡単には済ませられない問題である。

震災遺構を見るのが辛い人と残したい人の両方の意を満たすにはどうしたら良いか。
この番組を見て最初に思ったのは、梱包芸術のクリストのことだった。ヒトラー第三帝国の負の印象が強いベルリンの「ライヒスターク(帝国議会議事堂)」を光り輝く素材で梱包し、まったく別の視点と美しさを与えた。安直かもしれないが震災遺構も同じように考えられないだろうか。
また、平泉の中尊寺金色堂のように、外側を覆堂(さやどう)で覆ってしまってもよい。今ならば、ガラス系の透明な素材を使って、外から見ることもまた隠すことも出来るような機能は付加できるだろう。

俺ならば、震災遺構を包み込むようにして、背の高いビルを建てたい。そのビルは津波が来たときに助かるための充分な高さを持たせ、災害対策の基地となるべく整備しておいたら、いざというとき役に立つだろう。そうなれば亡くなった方も多少は浮かばれるような気もする。

俺のような凡人でさえ、いろいろ考えるのだから、現代を生きている(はずの)表現者は、もっといろいろ考え行動してもらわないと意味がない。
既存のものごとについて、意味の読み替えや新たな価値を与えるのが芸術の仕事であり、震災遺構に取り組まないのは、怠慢というか、表現者として現代に生きていないといわれても仕方がない。

先日見た藤城清治「影絵横丁」展では、その南三陸町の防災対策庁舎がしっかりと藤城ワールドとして作品化されていた。
http://eeldog.blog12.fc2.com/blog-entry-750.html
藤城清治さんは御年89歳である。若い人たちはもっと奮起せねばならんのではないか。

ところで、写真家・六田知弘さんの震災遺物を撮影した写真集「時のイコン」(平凡社)が発売されました。ぜひ買ってください。
http://www.muda-photo.com/topics/index.html
http://www.muda-photo.com/publicity/index.html#T1128-2

なお、この写真集のもとになった写真展については、こちらで書いています。
六田知弘写真展「3・11 時のイコン」
六田知弘写真展「3・11 時のイコン」-2
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