eeldogの鰻犬堂日乗(mankendo diary)

日々のよしなきことどもをつづります。 クリックすると写真が大きくなります。

2017-10

週刊新潮「御用学者と呼ばれて 第7弾」について

しばらく前に「第6弾」が掲載されていたことに気付いたが(新潮32号)、まだ読めていない。週刊誌はいったん買い逃すと案外読めないんだよね。図書館に行ったら、最近のバックナンバーは軒並み貸し出されていた。

さて、第7弾の参加者は澤田哲生・東工大助教、奈良林直・北大院教授、岡本孝司・東大院教授のおなじみの3人。
記事内容は基本的にメディア批判、とくにサブタイトル「原発のリスクを高める朝日新聞の偏向報道」とあるように朝日新聞批判に終始していて、それ以上の内容はあまりない。一方、原子炉破損の現状把握、汚染水問題、除染、除染廃棄物の貯蔵施設といった根本的な問題にはほとんど答えていない。
対談中、朝日新聞等の論調に対して非常に批判的なのは、別に良いと思う。事実、新聞社をはじめとする主要マスコミは、福一原発事故前は基本的に原発に反対していなかった。むしろ、2000年前後は、温暖化に対応するための「原子力ルネッサンス」等という言葉も使われており、使用済み燃料の処理法もじき解決するような口ぶりであった。しかしそれはじつは嘘であって、使用済み核燃料の処理法は、ここ数十年一歩も前進しておらず、単に保管方法のバリエーションが多少増えた(ドライキャスク等)程度であった。使用済み燃料の処理法は鋭意研究中で、いずれ解決する(だろう)というような楽観的見通しを真に受けてしまった自分を恥ずるばかり。

しかし、このお三方は勉強は出来る人たちなのだろうが、以上のような肝心のことについて語っていない。意図してそうしているならまさしく「東大話法」(安冨歩)であり不誠実(というか嘘つき)である。意図していないなら、あんまり頭は良くないんじゃないか。
つまり、原発事故とその対応は、言ってみれば単なる物理現象である(引き起こした原因はそうではないが)。進行中の物理現象に対して、世事・人事であるマスコミ批判をいくらやったとしても、また批判された側がそれを組んで態度を改めたとしても、それとは無関係に物理現象は進行していく。
例えば朝日新聞が報道内容を改めたとしても、破損した原子炉部位の損傷が修復されるわけでもなく、メルトダウンした燃料の処理法が確立するわけでもなく、地下河川の水量が減るわけでもなく、いまだに発熱している燃料の温度が下がるわけでもなく、それを冷却するための水量が減るわけでもなく、結果として汚染水はダダ漏れ状態が収まるわけでもない。これらは単なる物理現象であって、人の思惑とは別に進行している。
それを物の言いようで糊塗するのは無理な話で、思えば原発自体の問題は解決しようとせずに、マスコミ対策だけで問題を隠蔽できると思っていたが、震災でその論法が破綻した電力会社の発想をそのまま踏襲しているのだろう

昔であれば大本営発表を信じていたら、ある日突然敗戦を迎えたということもあったわけだが、それを現代で再現しようとしているのだろうか。新潮御用達の御用学者を信じて、国が潰れていくのを黙ってみている人は少ないだろう。

さて、しかしどんな文章にも学ぶべきところはある。今回、「スラブチッチ市」というチェルノブイリ近郊の新興(人工)都市についてはじめて知った。この都市のことは、反原発派にとって都合が悪いから、ほとんど触れられていないそうである。
Wikipedeiaの記事を参照すると、
・1986年の災害後のチェルノブイリ原子力発電所の避難者を対象とする。
・プリピャチ市を放棄して避難したチェルノブイリ原子力発電所とその家族が主要な市民。
・労働者の健康を確保するために、発電所の約50キロ東に位置し、汚染土壌があるため2メートルの汚染されていない土の層で覆った。
・都市のインフラや公共施設は、ほとんどが発電所を運営する会社によって支払われている。
http://en.wikipedia.org/wiki/Slavutych
つまりは、事故のために放擲されたプリピャチ市の代替であり、事故処理および事故後も稼動している原発労働者のための人工都市である。

これについて奈良林氏は、以下のように述べている。
・事故後1年8ヶ月で作られた。
・コンセプトは「こどもたちのおとぎの街」
・民芸品を作る工場もあって雇用も創出
・11階建てのアパートにただで入れ、子供が3人以上いると一戸建てに入れる。
等とすばらしい町のように書いているが、普通に考えれば、さまざまな優遇策をとることによって、被災者保護および原発労働者の確保を目指しているように思える。
チェルノブイリ原発の裏づけにより快適な都市生活を送ることは、リスクと利便性をのバランスを考えると「あり」なのだろうか。
これは人によって判断が違うだろうが、無理にこのような都市に住みたいという人はいないだろう。そのせいか、これほど恵まれたこの都市の人口は、25,000人程度らしい。ちなみに事故前のプリピャチ市の人口は約49,000人で、スバブチッチ市の人口の約2倍であった。

週刊新潮が反「反原発」のプロパガンダをはることにより、原子炉事故の物理的側面が収まればいくらでも応援するのだが、何をどう言いくるめても、放射性廃棄物の半減期を短くするような方法が出てくるわけではない。

そのへんも含めて、もうちょっと説得力のある御用学者の弁を聞いてみたいものですが、どんなもんでしょうか。
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