eeldogの鰻犬堂日乗(mankendo diary)

日々のよしなきことどもをつづります。 クリックすると写真が大きくなります。

2017-11

チェルノブイリ・イコン

たまたま図書館で「現代宗教2013 3.11後を拓く」という本を手にしたら「チェルノブイリ・イコンによる記憶の伝播と共有」(井上まどか)という文章が目に入ってきた。
以下、概要を抜粋していく。

1986年にチェルノブイリ原子力発電所の事故が発生、大きな被害をもたらして、いまだに惨禍は続いている。チェルノブイリという地名は当初から言われていたように、「黒い草」という意味で、具体的には「オウシュウヨモギ」(ニガヨモギに近い種)であり、ヨハネの黙示録中にある「第三の御使いがラッパを吹き鳴らすと、ニガヨモギと呼ばれる大きな星が落下し、川の水が苦くなったので多くの人が死んだ(大意)」で予言されていたとみなされた(そう思って当然だと俺も思う)。
事故から17年たった2003年、「リクビダートル」(原発事故処理作業員)の団体の会長・ユーリー・アンドレーエフがキエフ主教にイコン制作を打診したところ実現した。
主教が描きあがったイコンを祝福したところ、奇跡が起こったという(雲間から虹が現れ、上方を鳩が飛び、中空に太陽のある十字架が出現した)。

そのイコンはこのようなものである(ほかにもいろいろなものがある)。
http://iconreader.files.wordpress.com/2011/04/68997m.jpg
http://iconreader.wordpress.com/2011/04/06/about-the-chernobyl-saviour-icon/

図像は、画面中央より上部に中央にキリスト、左に聖母マリア、右に大天使ミカエルが配置されている。下半分には、中央にチェルノブイリの象徴とされる特徴的な枝振りの松の木が描かれ、その後ろを「ニガヨモギと呼ばれる大きな星」が落下しつつある。左側には原発事故で亡くなった人々の魂が描かれ、右側には生存者(サバイバー)たちが描かれている。生存者は消防隊員、リクビダートル、発電所の労働者、医療関係者たちである。その遠景に、石棺化されたチェルノブイリ発電所が描かれている。
中央に描かれている松の木は原子力発電所近くに実際にあり、独ソ戦に記念碑のそばにあったため、またソ連兵士がドイツ兵に吊るされたという伝承もあり、除染の際に切り倒されなかった。独特の枝ぶりはウクライナの紋章(国章)にも重ねあわされるという。

ちなみにこのイコンの模写が、福島原発事故直後の2011年4月、京都の寺田バレーアートスクール(ウクライナでチェルノブイリ支援をしてきた)に送られている。
http://www.flickr.com/photos/mofaj_tohoku/5608938391/in/set-72157626377803098
文中にも触れられていたが、松の木は一種のシンボルになることが多いらしく、陸前高田の奇跡の一本松と、タルコフスキーの「サクリファイス」の松にも触れられていた。

今日はじめて、このチェルノブイリ・イコンを見て、言い表しにくい感銘を受けるとともに、いろいろと考えることが出てきた。ただ、それはまだ整理できていないけれど。

ところで、NHK教育テレビの「チェルノブイリ 再生の歴史」で見たのだが、松は放射性物質の影響を受けやすいという。
また、原発のそばの松といえば、六田知弘さんの写真展「時のイコン」で、原発至近の楢葉町の松の写真を思い出す。

さて、福島原発事故後の東日本(日本とはいわない)で、このイコンのような、心のよりどころになりえるようなものは生まれ得るのだろうか、それともすでにもうあって、ただそれに気付かないだけなのか。
すでに、飯舘村の山津見神社は焼けてしまった
野馬追は復活したが、しかしいつもやっているわけではない。
来るべきものは新しい物語なのか、歌なのか、寺社仏閣や記念碑のような建造物なのか、どうなっていくのか、さっぱり分からない。
むしろ、このイコンを作ろうとするまでに15年以上の時間が必要だったことを考えるべきだろうか。


※リクビダートルの作業の様子については、このようなものだったらしい。一部抜粋する。
「兵士と将校たちが燃料と黒鉛を手づかみで集めている。バケツを持ち歩いて集めているのだ。それをコンテナに放り込む。われわれの車のそばにある塀の向こうにも黒鉛がころがっている。私はドアを開けて、放射線測定器を黒鉛のかたまりのすぐ近くまで突き出してみた。2000レントゲン/時だ。ドアを閉める。オゾン、焼け焦げ、埃、さらに何かが混じった異臭が鼻を刺した。その異臭は、多分、人間の焼けるにおいではないだろうか...兵士たちは黒鉛がいっぱい詰まったバケツを集め、ゆっくりと金属性のコンテナの方に運び、バケツの中身をそのなかに移している。愛する人たちよ、あなた方は何という恐ろしい収穫を集めているのか、と私は思った。」
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/Chernobyl/GN/GN9205.html
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