eeldogの鰻犬堂日乗(mankendo diary)

日々のよしなきことどもをつづります。 クリックすると写真が大きくなります。

2017-05

いがらしみきお「ものみな過去にありて」(仙台文庫2012)

この本を読んでいたら、はじめて知ったことがあった。そうか、いがらしみきおは難聴だったのか。
彼独特の、世界とのそぐわなさについて少し分かった気がした。文中にもあったが、4コママンガでもけっこう怒っていたものな。
それにしてもけっこう音楽が好きだったことは作品から知っていたが、だいぶ大きな音で聴いていたのだろうか。山下トリオなんか、大きな音で聴いたらいい気持ちだったろう。

ところで、「本へ」という題の文章に、「物語」についてなるほどと思ったところがあったので引き写す。

(前略)図式としてはこうです。人間→言葉→物語→本→いろんなもの。これが人の世の流れじゃないでしょうか。「本」はいらない、人間→言葉→物語→いろんなものだとする人もいるでしょうが、それでもいいです。問題は物語なので。では物語とはなんなのかというと、震災と津波で家族とあらゆるものを破壊されてしまった人が、もう土台しかなくなった自分の店に行ってみると、誰かが瓦礫のなかから拾ってくれた商売道具が置いてあった。それを見てその人は「ここでまた店をやれってことだと思ってー」と気持ちを決める。これが物語というものです。
なにもなくなってしまった自分の店の前に商売道具だけがポツンとおいてあった。それを見たとき、その人の中にあった物語が起動したわけです。その物語はその人の中にいつか埋め込まれていたものでしょう。たぶん本によって。または本から作られたいろんなものによって。
物語は人の行くべき道を示したり、逆に苦しみや悲しみももたらします。家族を失くした悲しみ、それも物語りだし、その悲しみを救うのもたぶん物語でしょう。そしてほとんどの物語はまず本に書かれてあるのです。(後略)

しみじみと良い本です。

ついでにひとつ。鬼海弘雄の写真集「persona」についてふれた文章があった。やっぱり見ている人は見ているんだな。
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://eeldog.blog12.fc2.com/tb.php/741-a54f10d0

人気ブログランキングへ

 | HOME | 

MONTHLY

CATEGORIES

     

RECENT ENTRIES

RECENT COMMENTS

RECENT TRACKBACKS

APPENDIX

鰻犬堂

鰻犬堂

FC2Ad