eeldogの鰻犬堂日乗(mankendo diary)

日々のよしなきことどもをつづります。 クリックすると写真が大きくなります。

2017-09

タルコフスキー「ストーカー」

現在、渋谷のユーロスペースで、タルコフスキー特集をやっている。「ノスタルジア」「サクリファイス」「ストーカー」と見るつもりで、まずは日程がちょうどあったので「ストーカー」を見に行った。
前回この映画を見たのは25年くらい前、高田馬場だったか。その時は風邪気味のため、また長時間の映像も相まって、朦朧としながら見ていた。あまりはっきりした記憶はなく、悲惨と奇跡、真実とそれに対する疑念、それらがないまぜになって、画面的には常時水が滴っていたような漠然とした印象しか残らなかった(が、それにしては強烈な印象ではあった)。
最近、アンゲロプロスの映画を見続けてきたせいか、長時間にもかかわらず最後まで眠らずに見ることができたw

「ストーカー(Stalker)」というタイトルの意味は「密漁者」だそうである(「狩猟管理人」という意味もあるようです)。
改めて見てみるとあんがい分かりやすい。説明的でもあるし図式的でもある。
「zone」と呼ばれる禁域に潜入する人物が3人。物理学者と作家、それと案内人である。どうも物理学者と作家の対話を聞いていると「科学」と「詩(芸術)」を象徴する人物らしい。では、役立たずで世渡りのできない案内人(主人公なのだろうな、やはり)は何者であるかと考えると、発言から察するに「宗教者」のようである。宗教者であるがゆえに世俗のことに疎いという設定なのだろう。
この案内人は陋屋に住んでいるのだが、妻と娘がいる。この娘は足が不自由らしいが、最後の場面で特殊な能力を持っていることを示す。この娘は頭にスカーフを巻いているのだが、その様子がロシアのイコンのようでもあり、なんだか聖なる存在のようである(そのためか特殊な能力をみせる前後に、騒音に交じってベートーベンの「喜びの歌」がかぶったりする)。陋屋で暮らす様子が、キリストが馬小屋で生まれた故事を思わせたりする。では、zoneからついてきた黒犬はなんであるか(冥府からつかわされた番犬-ケルベロスに近い存在、それともタルコフスキーが犬好き?)とか、言い始めると細々あるわけですが。

それもそうなのであるが、この案内人が住む地域のすぐそばに原発がある(スリーマイル島の原発のような冷却塔が見えている)という設定自体が、意図的なのか偶然なのかわからないのだが、予言的であるように思えた。

とはいえ、全体としてはキリスト教的背景が強調されている点、また図式的=分かりやすいため、以前見たほどの異様な感銘はなかった。とはいえこの映画の3時間はそれほど長くは感じない。
まあ異教徒がなに偉そうに言っているんだというご意見も御座いましょうが。

ところで、画面の質であるが、モノクロ部分(セピア色)の部分はとくに画面が汚くて、細部が良く見えなかった。カラーの場面は発色が鮮やかなのでそれに救われるせいか、それほど画面の粗が目立たない。例えて言えばVHSの映像をデジタルテレビで見たときのような画面の粗さがあった。後で見ると「デジタルリマスター」とあった。
字幕付きの上映フィルムが劣化してるので仕方がないのかもしれないが、なんだか味気ないものではあった。
画面に「雨降り」があったり、ノイズ、退色があったりしてもスクリーン上ではフィルムで見たいものです。
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://eeldog.blog12.fc2.com/tb.php/688-d9f90f74

人気ブログランキングへ

 | HOME | 

MONTHLY

CATEGORIES

     

RECENT ENTRIES

RECENT COMMENTS

RECENT TRACKBACKS

APPENDIX

鰻犬堂

鰻犬堂

FC2Ad