eeldogの鰻犬堂日乗(mankendo diary)

日々のよしなきことどもをつづります。 クリックすると写真が大きくなります。

2017-04

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福島県立美術館でベン・シャーンを見てきた。

今回のベン・シャーン巡回展は、福島だけ特別である。
というのは、アメリカの美術館が福島での作品の被爆を恐れて、貸出を拒否したのだ(これについては以前書いた)。
今年初めに鎌倉で見ればよかったものを、福島で見たいなぞといっておったら、2月になったらアメリカ側がそういうことをいってきた。いったんは名古屋会場で見ようかとも思ったが、癪に障るのでやめた。
それで福島で見ようかとかいっているうちに会期の終了が迫ってきた。会期は7月16日までだが、それなりに社会生活を送っているので、諸般の都合で7月6日しか時間がなかった。
この日は金曜日で、6月29日に引き続き総理官邸前に行ってみたいと思っていたのだが、こちらを優先した。官邸前は警官隊にガードされて、人は分断されたようですが、それでも相当の人数は来ていたそうです。

さて、行くと決めたら細部を詰めようか、と。陋巷にひそむ俺様にとって新幹線での往復は血を吐くよりもつらい、コポォ(←なんか血を吐いている擬音に聞こえるww)。
そこで貧民の友、別名乗るのも命がけと言われる高速バスを探したが、深夜便しかない。それだと翌日の仕事もあってつらい。いろいろ探したらJRの高速バス昼間便があって、朝一に出ると昼過ぎに福島市到着、夕方17時のバスで戻ると22時過ぎに東京着というのがあった。料金は新幹線片道分くらい。さっそく申し込んでチケット入手した。

7月6日(金)は休みをとって、まずはJR代々木駅わきのバスターミナルへ。バスはあまり混んでいません。定刻に発車したら、池袋を過ぎたあたりでもう眠ってしまった。順調に進んで定刻通り福島駅東口に到着。けっこう揺れるバスだった(帰りはそうではなかった)。
滞在時間が短いので、タクシーを奢ってみたが、道を間違えて遠回りになってしもうた。
さっそく美術館に入る。が、お客さんは誰も居ない。けど、お昼だから当たり前か。
アメリカからの作品が複製になったせいか、1000円のはずが600円に変更になっていた。しかしうれしくない。1000円払って全部見たい。
さて、人のいない館内でシャーンの作品を満喫したのだが、そのなかで心に残ったものをいくつかあげる。

・4人の検事
http://www.encore-editions.com/ben-shahn-the-four-prosecutors-sacco-vanzetti-case-1931-32
・トム・ムーニーの母親に挨拶するジミー・ウォーカー ※事情が良くわからないが。
http://benshahn2011-12exh.info/information/ex-composition.html
・砂嵐
http://www.archives.gov/exhibits/new_deal_for_the_arts/images/work_pays_america/years_of_dust.html
・WPA Sunday ※左端のおじさんの顔付き
http://xroads.virginia.edu/~am482_04/am_scene/shahn/sunday300.jpg

画像検索しても出てこないのでタイトルだけだが、壁画運動(シケイロスとかリベラの影響)の習作・下絵がすばらしかった。下絵といっても、壁画とは別種の完成された作品になっている。図版買わなかった(買えなかった)ので、記憶だけ。
・ニュージャージー州ホームステッドのコミュニティセンター壁画 習作
・信仰の自由 習作 ※右はアッシジ風、左はアメリカの田舎教会風等いろいろ書かれているが、中央に自由の女神のたいまつの手が描かれている。
・民衆の声 習作 ※投票に行く人々など
・移民 習作 ※左端にナチス、そこから右側に逃げる人々
・河船 ※労働者の姿、外輪船等

・ピーターと狼のLPジャケット(不採用)
http://benshahn2011-12exh.info/2012/06/post-15.html
その他レコードジャケット等、楽しくなる小品がたくさんあった。

・小麦を摘む男
・小麦畑
・実り
・至福(木版とテンペラ画の2種類)
これは一連の作品で、もとはドロシア・ラングの写真を見て、そこから描いたもの。最初の「小麦を摘む男」は、片手で小麦をつかみながら、どこか虚ろな目をしている。「小麦畑」はたしかリズミカルな小麦の線描だけ。「実り」はそれでも両手で小麦を摘んでいる。「至福」の木版画は、全体的にちょっと悲しげであるが顔は微笑んでいる。テンペラの「至福」はタイトル通りになっている。

・生命の樹 習作 ※宗教性の非常に強い作品だったような。やっぱり図版買おうかな。
・黄金のアルファベット ※ヘブライ語らしきものが書いてあったが、たんなる文字ではなく生きているような印象を受けた。中島敦「文字禍」を思い出した。この小説のなかの文字はたしかに生命を持っているように書かれていたので。

第五福竜丸関連では
・瑠璃色の怪物 ※原爆実験のキノコ雲のなかに怪物がひそんでいる。実は福一原発爆発の瞬間の映像を見たとき、怪物が飛び出したようにも見えたので、この作品を見てとても納得するものがあった。
・ラッキードラゴン ※大作です。こういう状況になって、ここ福島で見ることになるとはちょっと前まで予想もできないことだった。なんとも言えなくなります。でも、次の
・なぜ? という墓の前に白菊がおかれた作品のほうが、今日は感ずるところがありました。

ところで、ベン・シャーンはアメリカ大恐慌期にFSAで写真家としても活動した。その写真作品も見もののはずであったが、ハーバード大Fogg美術館がひよって、美術館提供のデータをカラープリントしたものが展示されていた。
これは複製のはずであるが、あんがい上出来のもので、セピアに変色したものなどうっかりしなくてもオリジナルと間違えそうであった。複雑な気分になった。ハーバード大はそれでも気を使って高精度のデータを出してくれたのだろうか、よく分からない。もともと写真は複製芸術だから、これで良いとも言えるのだが、どこか釈然としない気持ちもあって、しかしプリントアウトされた図版は、実用的には十分である(他に資料的なパネル写真等は質は低かった)。この妙なかんじ、ゆっくり考えてみたい。

おまけであるがFSA参加の写真家が使ったカメラの資料がでてきたので、面白いからリンクする。
http://secondat.blogspot.jp/2009_10_01_archive.html

それほどゆっくりしていたつもりはなかったのだが、すでに16時近い。少々焦って、常設展を駆け足で見て、美術館を出た。ほんとうはもう少しゆっくりしたかった。

後は蛇足。
美術館からは、福島交通飯坂線という超ローカル線が走っている。「美術館図書館前」という駅名もさることながら、駅舎を見たときなんだか夢のなかの舞台のようであった。が、電車はごく普通であった。機会があれば、この電車の駅舎をひとつずつ見ながら、最後は飯坂温泉で一泊したいもんです。

2012070601.jpg

2012070602.jpg バスより安い

2012070603.jpg これは隣駅
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コメント

lucky dragon

初めまして。ラッキードラゴン、福島に来てたんですね。
原発事故後、「ここが家だ」という第五福竜丸の絵本を行きつけの喫茶店に置かしてもらいました。
そこの店では何度かチャリティーバザーをして義援金を送ってました。
しかし復興予算のように、監視してないと何に使われてるか分かったもんじゃありませんね。
あれ以来、私も含め周りの人も、社会に少し関心を持って調べるようになりました。
調べるほど、日本はもうダメなんじゃと思ってしまいますが、まずは出来ることから。
何が確実な支援に繋がるか分かりませんが、とりあえず東北旅行します。
今年は相馬野馬追に行きました。めっちゃカッコ良かったです!
島津領民

Re: lucky dragon

コメントありがとうございます。
島津殿のご家中(笑)ですか。
遠路はるばる野馬追を見に来ていただいたとは、ありがたいことです。
さて「ラッキー・ドラゴン」は以前から福島県立美術館の収蔵品だったようです。
ttp://benshahn2011-12exh.info/img/contents/list/listOfWorks_bs_120412.pdf

今回の原発事故のことを考えると、因縁めいたものも感じます。



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