eeldogの鰻犬堂日乗(mankendo diary)

日々のよしなきことどもをつづります。 クリックすると写真が大きくなります。

2017-07

ベン・シャーン展@名古屋、行くべきか行かざるべきか。

今、名古屋市美術館でべン・シャーン展が開催されている。
http://www.art-museum.city.nagoya.jp/tenrankai/2011/benshahn/

実は1月末まで神奈川県立美術館葉山で開催されていたのだが、6月~7月までの間、福島県立美術館で開催されるので、そこで見ようと思っていた。
その理由は、福島第一原発事故のあった福島でこそ、第五福竜丸事件を題材にした「Lucky Dragon」を含む、ベン・シャーンの作品を見たいと思っていたからだ。タイミングが合えば、今年何回目かの里帰りにも合わせられる。
しかし、アメリカの美術館が福島だけ貸し出し拒否したという。

以下、朝日新聞より引用。
http://www.asahi.com/national/update/0225/TKY201202250463.html
米美術館、福島だけ貸し出し拒否 ベン・シャーン巡回展

 米国で活躍し、核の問題や戦争、貧困などをテーマにした作品を残した画家ベン・シャーンの国内巡回展のうち、6月から開催を予定している福島県立美術館(福島市)に対し、米国の美術館7館が所蔵作品の貸し出しをとりやめていたことがわかった。東京電力福島第一原発事故による放射能への不安などが理由だという。

 県立美術館はこれらを除いた国内の所蔵作品のみで展覧会を開催するが、同館は「シャーンは核の問題に関心があった画家だからこそ、今の福島でたくさんの作品を見てもらえないのは残念」と話している。

 シャーン(1898~1969年)はリトアニア生まれ。絵画のほか、写真や版画なども残した。県立美術館は、1954年の米国の水爆実験で漁船「第五福竜丸」の乗組員が被曝(ひばく)した問題を題材にした「ラッキードラゴン」シリーズの一部を所蔵している。死の灰を浴びた男性が「私は被曝のために死にました」と書いた紙を手に、ベッドに座る姿を描いた作品だ。(引用終わり)


ところで作品の貸し出し拒否は「東京電力福島第一原発事故による放射能への不安などが理由だという」。確かにそうだろうとは思うが、それだけだろうか。日本が核被害を受けた時、たいていアメリカがかかわっている。広島と長崎、第五福竜丸、福島原発事故(原子炉はアメリカ製で欠陥が指摘されていたもの)。

福島県でベン・シャーンの作品を見ればどうしてもそこに思いが至る。バカが見てもそうなる。それが恥ずべきことだという自覚があるからこそ、アメリカ側は作品の貸し出しを拒否したのではなかろうか、と考えた。どうもシャーンの作品の中にある社会性(というか、世の中にかかわろうとする態度)からも、そこに行きつく部分があるように思える。

それとは別に、こんな話を思い出した。亀井勝一郎の「大和古寺風物詩」だったと思うが、戦争中の文章で、「都市部から人が疎開するように、仏像も疎開させたほうがいいという人がいるが、まったく無意味だ。人々が苦しみの中にあるとき、仏(またその似姿)が、人を置き去りにして、自分だけが逃げ出すことなどありえない。人々が爆撃で焼かれるときは、仏もともに焼かれるほうを選ぶだろう(大意)」と書いていた。

仏像は一義的には崇敬の対象であって、芸術の対象ではなく、シャーンの作品には市井の人の偉大さから発するある種の崇高さがあるように見受けられるが、やはり宗教的作品ではないという違いがある。しかしシャーンが生きていたとしたら、福島に貸し出しを拒否するだろうか。それはアメリカの学芸員も分かっているだろう。
それでも貸し出し拒否という結論を出したことから、以上のように考えた。

ところで、名古屋市美術館は会期の終わりが迫ってきている。癪にさわるが、名古屋まで行って一度見ておくべきだろうか。それとも6月の福島県立美術館の収蔵品だけを見るべきだろうか。悩みます。

※この件について、詩人・和合亮一さんの言葉がまとめられています。
http://togetter.com/li/264003

3月20日追記
いろいろ考えたが、やっぱり行かないことにした。
やっぱり、「解放」という作品(瓦礫を背景に子供たちが遊んでいる)は、被災地である福島でこそ見てみたい。
これからは、自分の手元にあるものだけでやっていくのだ、そう思った。だから、もともと福島県立美術館にあるシャーンコレクションだけでいいのだ。
まあ、こういうのをやせ我慢というが、それも良かろうよ。
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