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eeldogの鰻犬堂日乗(mankendo diary)

日々のよしなきことどもをつづります。 クリックすると写真が大きくなります。

2019-04

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山田風太郎「幻燈辻馬車」

朝日新聞読書欄の筒井康隆の連載で勧められていたので読んでみました。どうも一部、私の郷里のことも出てくるらしいし。
ページを繰るのが惜しいくらい面白いです。この本の面白さについては多くの方が書いておられるので、私はごく簡単なところを。

・魅力的な登場人物が多いが、心ひかれたのは老儒者の晩香先生。昼行燈のようなふりをして、じつはよく分かってらっしゃる。とくに最終章で、娘婿である赤井青年が、密告を恐れて罪なき車夫を殺したとき、赤井に対して謀反に参加する資格は失ったと宣告してからが格好いい。主人公である干兵衛のセリフに「自分の目的をとげるためには、他人を虫ケラ扱いにする人間はきらいでね」とあるが、これは「目的は手段を正当化しない」という著者自身の確信のあらわれであろう。フランス革命、ロシア革命、大東亜戦争、いずれも大義のないものはないが、そのために命をなくした者も数知れずいる。
また赤井が加波山に行けない以上、誰かが爆裂弾を運んでやらなければならぬが、それを晩香先生が持って行くつもりであったというのが格好よい。「まさか、わしが鉄砲を撃つわけにはわけにもゆかんが、ちょっといって、檄とか斬奸状とかの文章など、案じてやろうと思うての」といって娘たちの位牌二つを抱いて、少々おどけた口をききながら死地に向かうのであるが、儒者として生涯をかけて思想にかかわった者の最後の姿としてふさわしい。
・最後の部分、干兵衛と晩香先生を乗せた辻馬車が、亡霊と同じ燐光に包まれて疾走していく場面は、目からちょっとなにかの汁が出ます。
・私も子供が小さい時は「とと」と呼ばれていたので、お雛がそういって亡き父の亡霊を呼び出すときはグッときます。
・ところで、この作品では女性がどんどん死んでしまうが、かわいそうです。このへんはエンターテイメントとして、受けを狙ってしたのかもしれないが。
・作品中に出てくる、足尾鉱毒問題と旧相馬藩の関係であるが、wikipediaによれば、創業者・古河市兵衛は、旧幕藩時代から縁があった旧相馬藩主を名義人にして鉱山を買収し、相馬家家令であった志賀直道(志賀直哉の祖父)が市兵衛の共同経営者になったそうで、相馬家が直接鉱山経営をしたのではないらしい。すこしほっとしました。
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