eeldogの鰻犬堂日乗(mankendo diary)

日々のよしなきことどもをつづります。 クリックすると写真が大きくなります。

2017-08

どちらが正気か?

遅ればせながら、野村進著「緊急精神病棟」(講談社)を読んだ。
読むべき価値のある本だと思う。

ところで、この冒頭で、911の直後、精神錯乱状態になった男性が出てくる。(以下この部分の概略)
彼は、仕事のトラブル解決のためニューヨークに行き、精神をすり減らした後、つい最近まで自分も出入りしていた貿易センタービルが崩壊するところをテレビで見てしまう。それ以来、第3次世界大戦、この世の終末が来るという妄想(真面目に考えれば決してそうはいえないと思うが)に駆られ、通勤電車のホームで、「戦争が来るから早く逃げろ」と呼びかけてしまい、この病院に運び込まれる。

しかし、冷静に考えると、彼の行動は異常だとは決して言い切れない。むしろ、あるべき反応かもしれない。

911テロを見て、この世の終わり、もしくは第3次世界大戦と感ずるのは、正常である。実際、イラク戦争はすでに世界を巻き込んでいるではないか。
また、彼は、戦争の危機を直感した際、自分だけ逃げて助かろうとしたのではなく、周りの人を助けようという利他的行動をとっている。それも通勤電車に乗り合わせるというだけの、縁の薄い人たちに対してだ。

静かに考えると、この男性はなかなかの人物ではないだろうか。とった行動のあり方は奇矯ではあったろうが、しかし行動の本質においては、狂っているとは言い切れないように思う。

そう考えると、何食わぬ顔で生きている人々と、精神状態が不安定になってしまった人、どちらが正気だろうか。
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