eeldogの鰻犬堂日乗(mankendo diary)

日々のよしなきことどもをつづります。 クリックすると写真が大きくなります。

2017-11

六田知弘さん「記憶のかけら」展

ある秋の良き日、ファーンという一声とともに、はや東海道線快速は走り出でぬ。六田知弘さんの「記憶のかけら」を見るため、伊豆の国市大仁(おおひと)の知半庵(ちはんあん)まで出かけた。この記事の基本情報はこちらから。
http://www.muda-photo.com/publicity/index.html#T170929-1
http://chihan-art.com/category/news/

そもそも「大仁」という地名が読めないくらいなので、まず行き方を考える。
調べてみると、東京駅発なら東海道線(リッチなら新幹線)で三島まで行き、伊豆箱根鉄道に乗り換えて大仁下車。このルートで来てみたが、三島駅はJRの管轄が違うのでSuicaでは清算できぬ、要注意。料金は2,720円だった。時間は2時間半くらいはかかる。
もしくは新宿から小田急で小田原へ行き、JRに乗り換えて三島→大仁という行き方もある。一番安いかも。1,994円です。
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大仁の駅を降りると、目の前に足湯があるので即ち裸足となる。わりとぬるい。ついでに鉱泉も飲む。熱い。
そのわきに写真展の看板と知半庵への行き方の地図がある。線路わきを進行方向に戻る道を行くのがおすすめ。
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下田街道は車が多くて歩きづらいうえに、けっこう怖い。線路わきの道は城山(じょうやま)が良く見える。岩肌が荒々しい。
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しばらく歩き、知半庵に着くと、看板が出ている。
しかし左側のくぐり戸が閉まっているので、ちょっと戸惑う。
とりあえず開けて入る。入場料は当日1800円であるが、事前に予約すれば1500円。
この入場料を高いとみるか否か。俺の場合は、半日ゆったり過ごせたので良かったと思っている。

さて、知半庵は風情のある建物。歴史的価値があるという。詳しくは当該HPへ。
中に入ると、座敷に「時のイコン」の大型プリントがいくつかある。
最初の写真はPCのマニュアルであるが、よく見ると「総務部で云々」とあり、社内用に内製したものではなかろうか。それにしても分厚い。
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奥の部屋に進むと小さいプリントがあって、手にとって見ることができる。
フォークやら、おもちゃやら、ほぼ実物大のものが写った写真を見ていると、なんだか不思議な実在感があってちょっと日常生活的な感覚とのずれが出てきたことを感じる。
さらに進むと、ハーモニカの大きなプリントと、おもちゃが写った小さなプリントのある部屋がある。
前の部屋でもそうだが、「福島県相馬市」というクレジットのある写真を見ると、目をそむけたくなる。故郷だから、こういうことが起こったことをふたたび見て確認するのがつらいんだろう。
ハーモニカの写真を見ると、吹き口のひとつひとつに、みっちりと砂が詰まっている。自然というのは妙に律儀でもあって、偏執狂的でもある。
今更ながら、あんなにしつこくものを破壊することはないではないか等とも考えたりする。

室内の白眉は、「福島原発そばの廃棄物置き場のフェンスと松」の部屋だろうか。
ガラスに貼った写真(右側)に日が差すと、もともと夕日のあたった場面の写真なので、現実なのか写真なのか、些か危うくなる。
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部屋の真ん中には袋に入ったネガフィルム。その下には昆虫の標本箱
現実から遊離しかけながら、屋外展示へ進む。 
外に出ると、広葉樹のあいだに落ち葉散り敷き、そのところどころに写真がある。
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写真に導かれるように進むと、祠のまえのきざはしに立っていた。
見上げると、柱状立石の写真が掛けられ、よく見たら蛾がとまっていた。
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奥に見える祠に一礼し、石段をのぼる。のぼりきって祠に向き合うと、自然に拝みたくなった。
祠は二つあって、少しひらけた空間になっているが、写真と相まって異世界が広がっているように思えた。
展示を撮影していいといわれていたが、祠を入れて撮影するのはなんだか出来なかった。羊歯と落ち葉に埋もれる写真は、大昔からそこにあったようだ。
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こわいような、なつかしいような気持になって、上の祠から降りてくると、なんだか現世に戻ったような感覚だった。
とはいえ、このまま室内に戻ると震災を思い出して辛い。
屋外でぼんやりとアンモナイトの写真を見たり、柿の木のあいだをふらついてみたりする。
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そうこうしているうちに空腹に気付いたので、外に出た。
大仁には美味しいものも多いらしい。温泉もある。
写真家の六田さんは、ここに来たときは近くの温泉に必ず行くそうだ。
美味しいメンチカツのある店があるというので行ってみたが、すでに売り切れていた。うまいんだろうな。

先日、遠藤賢司が亡くなって以来、どうにもなにをしても空虚であったが、ここに来たら少し気持ちが変わった。
自分の内面のさらに奥にある泉がまた湧き出してきたようなかんじがする。
ここに来ても、なにも感じない人もいるだろうが、日常の雑事の向こうにある本質に近づきたい(思い出したい)人にはいいのではないだろうか、等と思っている。

今度の週末は、玄侑宗久さんが来て話をするそうだ。
http://genyu-sokyu.com/koenkai/index.html#171118
たまたま仕事の都合で来られないのだが、今回、あまり人がいないときに来てよかったかもしれぬ。
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