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eeldogの鰻犬堂日乗(mankendo diary)

日々のよしなきことどもをつづります。 クリックすると写真が大きくなります。

2018-11

レンズをつけるとシャッターの切れないオリンパスPEN-F

オリンパスの名機PEN-F(フィルム用ハーフカメラ、と念のため補足)の有名な不調で、純正レンズをつけるとシャッターが切れないというのがある。
ちなみにレンズを外すと、シャッターは切れる。
原因は、ボディとレンズの絞りとの連動部分の動きが悪かったり、ボディ側のシャッター部分が経年劣化で不調になったりというもの。
しばらく前に、知人からそのような状態のPEN-Fをいただいた。
ちゃんと触るのは初めてで、そのメカメカしさに惚れてしまった。
しかし、ちゃんと使えないのはさびしい。といって素人修理も多少行ったが、根本的には解決しない。
けっこう細かい作業なので、おそらくとどめを刺すだろう。
修理に出すと、たぶんメンテナンス済みのカメラが買えるくらいの金額になるだろう。
なかなか考えてしまう。

ということで、ニコンFマウントレンズアダプターを調達して、PEN-Fボディにニッコールレンズをつけて撮影していた。
撮影結果はさすがに満足のいくものだったが、やっぱり重いし、純正レンズも使いたい。
予め絞りボタンを押すと、絞り連動部分との負荷が減るらしく、純正レンズも絞り5.6くらいからなら使える。
昔のカメラとおなじで、自動絞り以前だと思えば苦にもならぬ(と言えばウソか)。
しかしそれだと標準38ミリレンズの開放F1.8が使えない。

ふと閃いて、レンズをボディにはめるとき、しっかりとカチンという音がするまで=ロックするまで回転させる。
それを途中で停めてみた。つまり、レンズは、はまっているがロックされていない状態で、しかしピント合わせなどはできる。
しかも、そのままシャッターも切れる。
ただし、ピント合わせを普通に行うと、レンズが外れるときがあるので、そろそろとヘリコイドをまわすことが必要だ。
パーマセルテープでも貼っておけばよいか。
ちなみに、絞りの連動をずらしてあるので、自動絞りではなく絞り込みで撮影となります。それでも開放から使えるのはありがたい。

これで撮影テストをしてみようと考えているが、テスト待ちのカメラがほかにもあるのであった。


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世田谷美術館 東京スケイプ展

10月21日までの会期で、世田谷美術館で、写真の収蔵作品展として「東京スケイプ Into the City」を開催している。
https://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/collection/detail.php?id=col00101

じつは開催しているのを、全く知らなくて、先日慌てていってきた。
作家は、濱谷浩、桑原甲子雄、師岡宏次、高梨豊、荒木経惟、平嶋彰彦、宮本隆司と大好物の人ばかりである。
忘備録を兼ねて、ちょっと書いてみる。
まずは、濱谷浩。好きな作家である。残像潜像なんかも良かったな。今回は、町の職業図鑑という趣であるが、発想的にはアッジェやザンダーにつながるところがあるかもしれない。

桑原甲子雄はサインを持っているのが、ひそかな自慢。写真はおなじみのものであるが、改めて見ると、いろいろ気付く。
226事件の写真は、大きく引き伸ばしても十分耐えられるものであった。画面中央左側の「〇」は、やはり雪か水滴だろうか。
http://digitalmuseum.rekibun.or.jp/app/collection/detail?id=0210009659&sr=%8D%8D%92%AC&sk=%8C%4B%8C%B4+%8D%62%8E%71%97%59

世田谷ボロ市の写真も何度も見ていたのだが、無意識に、自分がかなり真似をして写真を撮っていたのに気づいた。このblogでもボロ市の写真は公開している。

「下谷区上野公園山下」という写真があって、幼い姉妹が都電の停留所で道を渡ろうかと迷っている風情であるが、右背景には日の丸行列がある(盧溝橋事件関係?)が、それよりは姉妹を優先している。なんとなく、桑原の心根が透けるように思えた。
http://digitalmuseum.rekibun.or.jp/app/collection/detail?id=0210009672&sr=%89%BA%92%4A

「渋谷駅前」という写真では、ハチ公像の周りで人待ち顔の人たちが映っている。今みると帽子率が高い。
http://digitalmuseum.rekibun.or.jp/app/collection/detail?id=0210009714&sr=%8F%61%92%4A&sk=%8C%4B%8C%B4+%8D%62%8E%71%97%59

師岡宏次の銀座空襲後のパノラマ写真は初めて見たように思う。銀座のしゃれた写真を撮っていた人だから、さぞつらかったろうと思う。

アラーキーは「さっちんとマー坊」のスクラップブックが展示されていた。大きさはA2くらいか? そこに見開きでA1くらいの写真が貼ってあるわけだが、内容、質、量ともに素晴らしく、天才は最初から天才だったことが分かる。
また、80年代以降の陽子夫人を亡くす前後は、異常なクオリティーを持っていて、見厭きることがない。
チラシにも使われている新宿西口公園の写真、車いすの老夫婦、ベビーカーの若夫婦、少女がたまたま通り過ぎた瞬間らしいが、その瞬間に生老病死を含む人生のすべての面が焼き付けられているように思う。
https://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/collection/detail.php?id=col00101
ロバート・フランクのバスの写真(The Americansの表紙)をなんとなく思い出す。
https://www.amazon.co.jp/Americans-Robert-Frank/dp/386521584X

宮本隆司、高梨豊は今回は飛ばすことにして、平嶋彰彦のことを書きたい。
平嶋は、西井一夫との共著「昭和20年東京地図」で見て、初めて知った。いい写真だと思い、この本は正続を買ったが、いかんせん紙質がざらついているため、写真がクリア―ではない。
今回の展示では、モノクロ写真がしっかりしたプリントで見ることができたのは、大きな収穫だった。他に「神田を歩く」という本も入手したが、この人は、あまり本格的な写真集がないようだ。個人展もやっているのか、どうか。だから、今回の図録がほしかったのだが、図録は作成しなかったようで、残念だ。
ちなみに、ちょっと調べいたら、早稲田大学写真部のページを見つけた。
https://tomonphoto.com/intro_about/history-2/
ここで早稲田界隈の写真を掲載しているのだが、俺がよく知っていて、写真を何度の撮影したところが多くて、うれしくなった。同じようなところに興味をもっているのかもしれない。
入場料200円というのは、安すぎると思う。

帰りに写真を撮りながら帰ってきたが、なんとなくストリートフォトグラフィー風になってしまった。
我ながら影響受けやすいのう。

instaはクソ写真でOKときいて

仕事でインスタグラムを使うことになって、とりあえず自分のアカウントも作って練習がてら、いろいろと試してみた。
スマホ版とPC版では、どうもできることが違うようで、困ったものです。
PC版だと「開発者ツール」モードにしたりするのだが、一度の投稿で複数写真をアップロードすることができないようだ(というか、よく分からない)。
しかしスマホ版だと簡単だったりする。
インターフェースは統一してほしいものです。

それはそれとして、インスタグラムの写真加工の選択肢を見ると、簡易版フォトショップ風の部分と、フィルターと呼ばれる部分がある。
このフィルターというものだが、年寄りから見ると、いわゆる「失敗した写真」風にわざわざ加工するように見える。
露出不足、露出オーバー、青被り、赤被り、退色等、普通はわざわざ、そんな加工する必要はないと思うのだが、これがノスタルジック(というかフィルムカメラ風)でいいらしい。
一方で、デジカメの隅々までクリアな画像というのも、なんだかくどくて疲れる。きれいに撮れていて良いんだけどね。

ということで?どうやら失敗した写真であっても、フィルターで加工したていで公開すれば、それはそれで通ると考えて、有り余るクソ写真をどんどん公開している。
当然ながらフォロワーは少ない(そりゃそうだろ)。
しかし、行き場のなかった写真の供養にもなると思って、個人的には満足している。

それにしても、フォロワーがついたと思ったら、パーマ屋さんだったり、アパレル関係が多い。なんかそういう営業の仕方があるらしい。
ちょっと迷惑なかんじもする。

なかなかの曲者 Lord Martian

岡谷光学のカメラに、Lordシリーズというのがある。
レンズは、自社製ハイコール40ミリ。F2だったり、F1.8だったり。レンジファインダー、全体のデザインは独特のものがある。
さて、このシリーズの最終型にLord Martianというカメラがある。セレン式露出計、パララックス補正付きレンジファインダー、レンズは40/1.8。
※ビュッカー氏のところから引用。
http://fukucame.fan.coocan.jp/lordmar.htm

ずいぶん前から欲しいと思っていたが、久しぶりに見たネットオークションでたまたま出物があり、競争者もなく入手した。
届いた品物はまあまあ美品。しかしシャッターボタンを押しても、しばらくシャッターが下りない。
しばらく考えていたが、よく見ると、鏡胴裏側にセルフタイマーがあり、それのせいであった。これは自分の観察不足。
露出計はもとより諦めていたのだが、セレンの反応はあって、明るいほうに向けると針が動く。しかし、シャッタースピード、絞り等で連動させようとするが、針がふらふら動いて定まらない。
針が安定する場所があるにはあって、それは外付け露出計の値とほぼ同じであるが、それを確認するためには、やはり本体の露出計だけではだめで、結局使い物にならない。このへんは、古いものだから諦めもつく。

解せないのは、フィルム装填と巻き上げの仕様だ。
このカメラは全体をコンパクトにするため、巻き上げ方式が独特で、パトローネの中軸を巻き上げノブの内側で締め上げて固定し、それで巻き上げ可能となる。その際の向きは反時計回り。
ふつうフィルムを装填するとき、最初の巻き上げのあと、たるみをとるために、少し巻き上げたりする。このカメラでそうすると、パトローネの軸が固定され、フィルムを巻き上げようとすると、空回りし始める。
よく見ると、巻き戻し側が半分固定されて、テンションが掛かっているために、上手く巻き上げられないのであった。これを避けるには、フィルムを装填したら、時計回りに巻き上げノブを数回回してフリーにしておけばよいのだが、これがなかなか分からなくて、フィルムを1本無駄にした。最近フィルムも高いのに。
※ここに詳細が書いてある。四谷三丁目の我楽多屋、いつもお世話になっています。
http://arrow-camera.weblogs.jp/blog/2010/11/lordmartian.html

他にカウンターが7よりも先に動かないというのも分かったが、まあこれは良いとしよう。

結局、まだテスト撮影できていません。

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たぶん今度こそ、なんとかなりそう(KONICA PEARL2)

パールが使いたくて、半ジャンク品やら、まるっきりジャンク品やら、並品やらをこれまでいくつか買った。
レンズ白濁というパール3(蛇腹きれい)に、レンズだけはきれいで蛇腹穴ありのパール2をニコイチして、長い旅路も終わりかと思ったら、パール3の巻き上げがおかしくて、コマダブり発生。赤窓式に改造しようと、パール1を見つけて裏蓋を交換しようとしたら、閉じ金具が違っていた。けど、パール1の75/4.5のレンズを入手できたからまあ良しとする。

なかなかパール3の根本的解決策はなくて、パール3の蛇腹をパール2に移植できるような技術もない。だから、あまり考えないようにして、ニコンF2と戯れたりしていた。
久しぶりにカメラ屋のジャンク棚を見たら、パール2があった。レンズは白濁だが清掃で何とかなりそう。蛇腹はそこそこの状態。パール2は赤窓式だが、窓の赤色は薄れていて、ほぼ素通し状態か。
またまたジャンクに手を出すのはためらわれたのだが、やっぱり手を出してみた(何台目?)。
家で精査すると、レンズは清掃してもきれいにならず。よってパール3から移植する。蛇腹をチェックするとピンホールがあったので、パーマセルテープで補修。赤窓は赤マジックで塗りなおし。巻き上げは、不要なフィルムでテストしたが大丈夫そう。
ということで、本式にテスト撮影を開始した。とはいえ、失敗する確率が高いので、いつ買ったかも忘れたFOMAのモノクロ400を入れた。
うまく撮れてくれればいいのだが。

瓜に爪あり レンズに爪無し

先日、今更どういうわけかニコンF2様をお招きしたのだが、さっそくレンズをそろえたくなった。しかし、禁断のニコン沼に入るのは、さすがにためらわれるので、できるだけお金はかけない方向で行きたい。
とかいって、レンズ話をネットで逍遥していたら、安価にして写りが良いという、ニコンレンズシリーズE 75-150mm F3.5というものがあることを知った。
ニコン様が自分でいうのだから間違いなかろう。
http://www.nikon-image.com/enjoy/life/historynikkor/0042/index.html

翌日、中古カメラ屋をのぞいていたら、ジャンク扱いでこのレンズが売っていた。さっそく買ってきたが、カビ等もとくにないようで(俺の目で)、2000円もせず良い買い物をしたと喜んでいた。
と思ったら、手元にあるF2フォトミックは、レンズ側に露出計連動爪が必要であったが、このレンズにはついていなかった。つまり露出計が連動しない。
不変のFマウントとかいうらしいが、じつはけっこう仕様が変わっているらしい。このへん長くなるので省略するが、大昔に爪無しレンズで始まり、その後爪が必要になったが、また不要になったようだ。ほかにAi、非Aiとかいろいろあるらしい。
そのため、ニコンではサービスセンターで一時期、爪無しレンズに爪を移植するサービスがあったようだが、とうの昔に終了していた。
しかも、このレンズはニッコールではなく、シリーズEという別枠の廉価版ということで、そもそも爪つけサービスの対象ではなかった。絞りリングがプラ製なので、耐久性の問題があったのだろうか。

ということで、自力更生が必要である。人民服着ていたころの中国のようだな。
まず、爪の入手だが、これが難しい。
ジャンクレンズを拾ってくるにしても、数千円はする。しかも、手持ちのレンズより、たいてい状態が良かったりするので、部品取りにするのは忍びない。
いろいろ思案していたが、タムロンのアダプト―ルマウント、ニコン用が使えそうである。中古屋に行くと300円で転がっていたので、さっそく購入。
これを分解すると、爪が出てくる。
外れないねじがあって苦労したが、結局不可逆的分解(=破壊)してしまった。その際、出血してしまった。
罰が当たったのだろう。

ともあれ爪は入手した。都合のいいことに接着面になる「足」の部分は、細長く伸びていて、プラ製の絞りへの負荷を分散させられそうだ。
とりつけは、とりあえず二液式接着剤にした。
工程は、
1.レンズの絞りの5.6付近をナイフとやすりで削って曲面を出す。だいたい3.5~11あたりまで削った。これが手間かかる。
2.接着する。
3.(未着手)ねじ穴を作ってねじで補強。ねじ自体はアダプト―ルから持ってくる。

注意点は、
・ニコマートFTNは、本体側のガチャチャの棒が長くて、余裕がある。
これに位置を合わせると、F2フォトミックだと「棒」にひっかからない。一度これで失敗した。

その後、何度かつけてガチャガチャしては悦に入っていたが、ときどき「ガチャガチャの棒」が爪にはまらない時がある。というか、けっこうそういう場合が多い。
純正ニッコールと比べてよーく見ると、正面から見て左側の「棒」が爪に最初にあたる部分の角度の問題のようである。
つまり棒が爪の途中で引っ掛かって、爪の凹みにはまらないのだ。
ということで、またまたやすりを取り出して、爪を削って調整したところ、凡そよくなった。
これからしばらくテストしてみようと思う。

Nikon F2様ご入内

いまさらながら、ニコンF2を買ってしまった。
フィルム自体も風前の灯火だということは十分分かっているのだが、俺はいったい何をしたいのか。
それにしても半分ジャンク(けっこう美品で露出計も動いている)で、8,000円とはどういう値段なのか。
かつての憧れの君が、今はぞんざいに扱われているのが忍びなくて、家に来ていただいた。
家に帰ったら、カビ付きの35/2AIニッコールを付けてみようとぞ思ふ。

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天と地のあいだのくそ 内藤正敏「異界出現」展

東京写真美術館で、内藤正敏の「異界出現」展を見てきた。
新宿の安売りチケット屋で早めに入手しておいたが、やけに安かったな。
内藤正敏は、「デジャブ」誌で、富士山頂からの夜間長時間露光の写真などを見て、どうも「婆バクハツ」だけの人ではないと思って、注目してきた。
そういえば「修験道の精神宇宙」もいつの間にか持っていた。

大昔、あるカメラマンと仕事をしたが(照明関係を撮るのがうまいひとだったが、おれが頼んだのは工業機械だった)、その人が写真家の吉田元さんのことを知っていることから、いろいろと話をした。
そのなかで、内藤正敏の話がでて、そのカメラマンは一度手紙を書いたことがあったが、非常に丁寧で真面目な長文の手紙が届いて恐縮したといっていた。またお金とは全然縁がない人だとも。そうだろうと思って聞いていた。

初期作品から通して見ていくのは初めてだったが、かなりの内容を持っている写真展だった。今日はNHK教育の日曜日美術館で紹介するので、混むのではないかと思って早めに行ったが、別に大挙して人が来たわけではなかった。そうだろうとは思っていたが、寂しくもある。

大学で化学を専攻しただけあり、初期作品はその傾向が強い。ビデオ映像で星新一のショートショートとのコラボレーションがあって、ちょっと面白い。
展示の最後まで見てから、最初に戻ると、ミクロ(極小)とマクロ(極大)を同じ視点でとらえていたことがよく分かる。

いくつか印象に残った写真について書いてみる。
・月夜の盆踊り
恐山での婆さんばかりの盆踊りだが、岡野弘彦の「またひとり顔なき男あらはれて 暗き踊りの輪をひろげゆく」という歌を思い出した。
この歌では男女が踊っているところが、内藤の写真とは違うが、やはり死者が戻ってきて、生者の踊りの輪に交じっているだろうなと思わせるところで通じている。
・踊る老婆
この婆様は、生者なのだろうが、没我の境地にいるようでもあり、踊りのなかではこの世とあの世はつながっているのだろうか。

そういう目で見ると、
・ホテルニュージャパンの火事
の写真は、タイトルを見たら肝が冷えた。ニュースでの大惨事の様子は覚えていたが、就職してから赤坂見附付近で仕事をしていたら、まだホテルの焼け跡の一部が残っていた。生者が我が物顔で往来しているように見えるが、じつは死が裏打ちされていることを再認識させられた。現実に、あの火事の現場ではあの世の釜のふたが開いていたのだった。
そのなかで、
・花見をする浮浪者
は、花に囲まれた世に埋もれたる賢者のような風情で、心が和むところがあった。
・流れ灌頂
は、知らない言葉だったので調べてみた。
「出産で死んだ女性の霊をとむらうために、橋畔や水辺に棒を立てて赤い布を張り、通行人に水をかけてもらう習俗。布の色があせると亡霊が成仏できるという。地方によっては水死者のためなどにも行い、供養の仕方にも違いがある。」(大辞泉)
なにか悲しいことがあったんだろうな。

この調子で書いていくとキリがない。

・遠野物語・出羽三山
については、素晴らしいので誰もがふれるだろうから、あえて書くまでもない。
それでも、
・神々の異界
には、やはり言葉にならぬ心の動きがあった(体も、かな)。どの写真も宇宙観、生命観、歴史観、様々なものが重層的に重なりつつ、一つの写真として成立している。巨大プリントにして、佐倉のDIC川村美術館で、マーク・ロスコのとなりに並べて見たいものだ。
そのなかでも、
・御来光 月山山頂
はブロッケン現象で内藤自身のシルエットが映っているが、半分くらい神というか、あの世に身を移しているようにも見えた。

最終コーナーの、
・内藤正敏の軌跡展
での、いろいろな時代の写真を並列に並べ、テーマは異なっているようだが、本質は同じものを追及しているということが如実にわかる展示は、それだけの価値がある。ここを見てから、また最初から見直すと、そのへんがよく分かる。

一番最後に、
・聖地
という写真があり、川辺に動物のフンらしきものが映っている。山のけもののフンだと思って見ていたが、図録を見ると、内藤自身のくそであった。
これを見ていたら、文化人類学者である西江雅之先生の本にあった「人は、天と地のあいだにあるくそである」というアフリカの言葉を思い出した。
内藤は、岡本太郎の写真をプリントした仕事があるが、岡本太郎はマルセル・モースに師事した文化人類学者でもあった。また内藤自身は民俗学者でもある。
相通ずるところがあるからだろうか、この言葉を思い出した。
内藤は、天と、地と、地の底の、三つでありながら一つでもある世界を、一見土俗的に見えながらも、scienceの視点を以て、写真という化学的技法を用い、かたちとして定着させているように思う。
そしてその撮影する主体である内藤自身は、天と地のあいだでは、とるにたらない「くそ」でもあるが、写真のタイトルにあるように「聖地」に生きてあることを自覚する、別格の「くそ」でもある。
とはいえ、撮影する際は主体・客体という意識を超えたところにあるのではないかとも思う。

万人向けではないかもしれないが、見るべき写真展だと思う。

Glenn Brancaが亡くなっていた。

5月13日に亡くなっていたそうだ。一度ライブで体験したかった。
Glenn Branca - Lesson No.1 for Electric Guitar

こういう映画もあるんでしょうな ホドロフスキー賛江-3

早稲田松竹ホドロフスキー祭の最後というわけで、「サンタ・サングレ」と「ホドロフスキーの虹泥棒」の2本立てを見た。
いろいろ見方はあると思うが、「虹泥棒」は、破綻寸前のストーリーを無理やり体裁を整えたかんじで、悪くないが、特別面白いわけでもなかった。
というか、特異な設定なので、いつか面白くなるだろうと思ったらそうなる前に終わったというか。
べつにホドロフスキー風味を期待していたわけではないが、そうでなくても、もうちょっとストーリーを整理したらよかったのではないかと思う。
最後の場面は救いはあるけどね。
見どころとしては、貧民集えるパブのおやじがイアン・デューリーで、これがはまり役だった。もともとパブロックから出てきた人なので、役柄にぴったりだった。
しいていえば、パブのハウスバンドをブロックヘッズにしたら、個人的には傑作になったんだが。

「サンタ・サングレ」は、予想以上によくできた映画。
ストーリーも卓抜で、設定もホドロフスキーらしさがあふれているわりに、破綻なく(というか普通の映画よりは設定自体相当破綻しているが)、結末にむけてお話が進んでいく。
起承転結がはっきりしています。
とはいえ、最後の場面、普通に逮捕される=現実(世俗)世界に引き戻されるように思えるが、もうちょっと飛躍があってもよかったような。

というわけで、6本見たが、今のところ「エンドレス・ポエトリー」がいちばん好みだった。勢いあまって、ホドロフスキーのタロットの本を借りてきたが、考えてみると、タロットカードも持っていないので、これは図書館にすぐに返そうと思う。
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